文豪聖地巡礼
インプレスグループで料理・文芸関連の出版事業を展開する立東舎は、朝霧カフカ氏監修、鈴木次郎氏イラストレーション担当による、漱石、鏡花、中也、芥川、太宰、安吾、乱歩らゆかりの地をエピソード付きで紹介した書籍「文豪聖地巡礼」を2020年6月19日に発売した。
夏の夜、京都の街路をそぞろ歩くまだ学生の夏目漱石と正岡子規。師・尾崎紅葉への軽口を許せず、自宅で徳田秋声に殴りかかった泉鏡花。銀座のバーで坂口安吾にケンカをふっかける中原中也。大阪で谷崎潤一郎とのちの伴侶を引き合わせた芥川龍之介。自宅の土蔵でロウソクを1本立てて創作に励んだという江戸川乱歩。川端康成の自宅庭先で歓談する、伊藤整と三島由紀夫などなど、個性豊かな文豪には、土地とセットで語られるエピソードが多数存在する。
「文豪聖地巡礼」では、そんな「文豪の息遣い」が感じられる聖地を多数紹介しているので、歴史上の人物ととらえられがちな文豪を、より身近に感じられることだろう。また「文豪聖地巡礼」を片手に「作品の聖地」を訪れることで、その世界観へのさらなる没入も可能になるはず。カバーと各章扉を彩る鈴木次郎氏のイラストレーションとともに、文豪の聖地を楽しもう。
CONTENTS
監修者のことば 朝霧カフカインタビュー
文豪聖地マップ
第一章 泉鏡花がみた「紅露時代」の文豪
泉鏡花 金沢で怪異に親しみ、神楽坂で開花した文才
尾崎紅葉 港区を愛した「職人気質」の芸術家
幸田露伴 青森から郡山まで、命からがら歩く中で見つけた筆名
田山花袋 引っ越しすら炎上してしまった不幸な「こじらせ」男
国木田独歩 武蔵野の自然に癒やされた薄幸の人
第二章 夏目漱石とその遺伝子
夏目漱石 熊本、東京、京都に残された足跡
正岡子規 松山と東京をつないだ創作へのエネルギー
志賀直哉 日本中を移り住んだ作家が選んだ我孫子の地
芥川龍之介 日曜日は「我鬼窟」の日
室生犀星 「田端文士村」から「馬込文士村」へ
萩原朔太郎 乱歩とメリーゴーランドに興じた日
菊池寛 「新感覚派」は、湯島のすき焼き店で準備された?
第三章 川端康成と世代を超えた友
川端康成 鎌倉から日本の美しさを歌った寡黙な趣味人
横光利一 下北沢にいまも響く靴音
梶井基次郎 病弱ながら野放図に駆け抜けた31年の生涯
三島由紀夫 神保町で出会ったイデオロギーを超えた友
小林秀雄 「近代批評の父」は酔って水道橋駅ホームから転落
第四章 中原中也と「無頼」の文豪
中原中也 京都での出会い、鎌倉での別れ
太宰治 三鷹に眠る無頼の魂
井伏鱒二 後輩思いで知られる阿佐ヶ谷文士村のボス
坂口安吾 無頼派で一番長生きした「ファルス」の作家
織田作之助 文壇バー「ルパン」での一夜
第五章 畸人作家列伝
江戸川乱歩 土蔵で執筆という伝説を生むほどの「人嫌い」
森鴎外 サロンとして機能した「観潮楼」での歌会
石川啄木 生活に追われて各地を転々とした「空想家」
谷崎潤一郎 最後の妻と暮らし、「細雪」を生んだ神戸の倚松庵
宮沢賢治 生涯を理想郷で暮らした「不遇」な農民作家
小林多喜二 「蟹工船」のイメージの源泉となった小樽の港
中島敦 横浜高等女学校の教卓に置かれた一輪のバラ
巻頭には「監修者のことば」として朝霧カフカ氏インタビューを掲載。
第一章は、紅露時代から自然主義までの文豪たち、尾崎紅葉、幸田露伴、田山花袋、国木田独歩を、泉鏡花を中心に描く。
THE文豪・漱石をめぐる作家たちを紹介する第二章。正岡子規、志賀直哉、芥川龍之介、室生犀星、萩原朔太郎、菊池寛の足跡。
第三章は、大正から戦後まで文壇に君臨した川端康成と、彼が交友を持った横光利一、梶井基次郎、三島由紀夫、小林秀雄が登場。
哀しき詩人・中原中也と、彼が交流を持った太宰治や坂口安吾、彼らを取り巻く井伏鱒二、織田作之助らの世界とは。
これまでのグループには収まり切らなかった「畸人」文豪・江戸川乱歩、森鴎外、石川啄木、谷崎潤一郎、宮沢賢治、小林多喜二、中島敦のエピソードを紹介。
カバーを飾るのは、中原中也と小林秀雄の鎌倉・妙本寺での「仲直りの図」。ときは中也の没年である1937年、海棠の花が散る美しい季節のことだった。
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