直木賞作家・志茂田景樹が今の時代に伝えたいエッセイ本

生きる力 83歳車いすからのメッセージ

生きる力 83歳車いすからのメッセージ

インプレスグループでデザイン分野を中心としたメディア事業を手がける株式会社エムディエヌコーポレーションは、直木賞作家・志茂田景樹氏著書によるエッセイ「生きる力 83歳車いすからのメッセージ」を発売した。

ヘマな人生を送ってきた僕が、やっと気づいたことがある！

今の自分を駄目だと思うな。
今を生きているんだから、今の自分が一番なんだ。
すべては今から始まるんだから、今の自分を信じろ。

直木賞作家が放つ、渾身のエッセイ。

〈以下、本文より抜粋〉

人生には節目がある。そして良い節目もあれば、悪い節目もある。
2019年春、 79歳の僕は、とても大きなそして悪い節目を迎えました。
その年に僕は、車椅子生活を余儀なくされたのです。

あるとき、関節リウマチによく効くという温泉の予約を入れました。
予約した宿に着いてすぐのことです。
フロントの床に上がった途端に、靴を脱いだ背後のタイル床へ転倒してしまったのです。
とっさに頭をかばうのが精一杯で、腰を強打しました。
そのことで腰椎を圧迫骨折し、関節リウマチも悪化させたことで、
車椅子ユーザーになったのです。

今の僕の状態は激痛が走るので車いすの車輪を手で回すことはできません。
屋内では両足を遣って車いすをそろそろ動かせますが、
通院などの外出には介護タクシーと妻などの介助者が必要です。
パソコンも1本指でキーをポチポチ叩いています。

そのような状態でハンデを背負いながらも、
僕は、前を向いて生きています。
やれると思うことに素直にまっすぐ向かっています。
こんな体になってしまったと嘆くより、
その自分を素直に受け入れて新しい自分の世界の出発点にすれば、
前を向かざるを得ないではないですか。
この本は、そうして拓きつつある僕の新しい世界を通して
生きるためのメッセージを肩肘張らずに書くことができたと自負しています。
ぜひ、ページをめくっていただければ幸せです。

志茂田景樹Profile●1940年、静岡県生まれ。中央大学法学部卒業後、さまざまな職を転々としながら作家を志す。1976年、『やっとこ探偵』で小説現代新人賞を受賞。40歳のときに、『黄色い牙』で第83回直木賞を受賞する。その後もミステリー、歴史、エッセイなどの多彩な作品を発表する。また、「よい子に読み聞かせ隊」を結成。自ら隊長となり「読み聞かせ」の実践活動を通して多くの子どもたち、そのお母さん、お父さんと交流を深める様子は、多くのメディアに取り上げられてきた。2010年4月からTwitterを開始。読む者の心に響く名言や、質問者に的確なアドバイスを送る人生相談が話題を呼んでいる。