Monotypeがタイプファウンドリーのフォントワークスの買収計画を発表
MonotypeⓇは、フォントワークス株式会社をSBテクノロジー株式会社から買収する計画を2023年7月19日に発表した。
東京証券取引所の上場企業であるSBTからも発表されており、取引完了は2023年第3四半期中の予定となる。
日本国内におけるMonotype初の買収案件であり、契約条件に基づき、デザイナー、エンジニア、営業、経営管理のプロフェッショナル73人からなるフォントワークスのチームと同社の知的財産(IP)、テクノロジー及び「LETS」、「FONTPLUS」の各種サービスがMonotypeファミリーに加わることになる。
フォントワークスの膨大な書体サービスと組織的な専門知識がMonotypeに加わることで、今後は世界中のクリエイターとユーザーからの、高級感あふれる日本語書体への需要の高まりに応えることができる。
また、Monotypeの多言語書体と定評あるHelvetica Now、Neue Frutiger、Gotham、FF Din、Avenir Nextなどの欧文書体を通じ、ダイナミックな日本市場のニーズへの対応も可能となる。
1993年に設立されたフォントワークスは、書体を通じて新たな文化の創造に取り組んでおり、東京タイプディレクターズクラブや国際ユニヴァーサルデザイン協議会から栄誉ある賞を受賞するなど、国際的に高く評価されている。
デザイナーがフォントを利用しやすい環境の実現に向け、2002年には、業界初の定額制フォントサービス、LETS(Leading Edge Type Solution)の提供を開始した。
フォントワークスの書体デザインは、過去30年間にわたり日本文化の形成に寄与してきた。
国内のテレビ局の95%がフォントワークスの書体を使用しており、国内のゲーム会社トップ10の98%がフォントワークスの書体を使用している。
フォントワークスのライブラリには、2000年代初頭に登場した日本語書体の筑紫書体シリーズなど、ニュークラシックな日本語書体のほか、明朝体、ゴシック体、手書き風書体、見出し用書体などが含まれる。
上述のLETSを通じ、同社はMonotypeライブラリのMonotype LETS、IWATA、MOTOYA、YOON、HOUSEIなど、アジア各国の書体ファウンドリーの保有する高品質書体も提供している。
Monotypeのライブラリは現時点で、世界最大規模の包括的なフォントスタイルのコレクションを構成しているが、今後はこれに260種類のフォントスタイルからなるフォントワークスの秀逸なライブラリが加わることになりる。
Monotypeはこれまでも、歴史を代表する革新的な書体デザイナーと数々のファウンドリーによる、不朽の名作、過去の書体の改刻版、オリジナルのデザインを多数提供している。
Monotypeのクリエイティブ・タイプディレクターであり、2022年Type Directors Clubメダル受賞者の小林 章氏は、次のように述べている。
「日本で最も権威あるタイプファウンドリーの1社であるフォントワークスがMonotypeファミリーの一員になることは大きな喜びです。藤田 重信氏率いるフォントワークスチームと私は長年のコラボレーションの歴史があり、今回のパートナーシップによって、Monotypeにもたらされる専門知識と業界の見識の奥深さをすでに実感しています。フォントワークスデザインの書体は、日本文化の中でも特別な地位を確立しており、今後は日本およびその他の地域で、より多くのクリエイティブ・プロフェッショナルにフォントワークスの素晴らしい書体をお届けしたいと考えています。」
フォントワークスの代表取締役社長CEOである原田 愛氏は、次のように述べている。
「創業30年の歴史を誇るフォントワークスにとって、今回の取引は胸躍る新時代の幕開けを意味しています。高品質書体ソリューションのグローバルプロバイダーとしてMonotypeは圧倒的な評価を誇り、我々と同様、書体に対し常に真摯に向き合う組織の一員になれることを嬉しく思います。Monotypeファミリーの一員となることで、今後は国内のお客様をより効果的にサポートしつつ、世界中の新たなお客様にもフォントワークスの書体デザインをお届けできるようになります。国際市場において日本語書体が急速に拡大する中、Monotypeとフォントワークスが一丸となることで、今後はさらなる発展に寄与したいと考えています。」
SBTの代表取締役社長CEOの阿多 親市氏は、次のように述べている。
「フォントワークスは、優秀なフォントデザイナーを擁しており、多くの高品位なフォントの開発や提供を通じて、お客様の製品やサービスの開発、企業ブランドの向上に貢献してまいりました。このたびフォントワークスが、タイポグラフィにおける高い技術力や人材を持つ世界的欧文フォントメーカーのMonotypeファミリーに加わることを嬉しく思います。今後両社が、日本語タイポグラフィにおける技術革新や創造を推進し、日本語書体の提供を通じた、国内外問わず多くのお客様の企業ブランド向上に寄与することを期待します。」
MonotypeのCEOであるナイナン・チャッコ(Ninan Chacko)氏は、次のように述べている。
「Monotypeによる日本初の買収案件が、高級感あふれる日本語書体のデザインとイノベーションで名高いタイプファウンドリーのフォントワークスであることを嬉しく思います。カルチャーとビジネスが国境を越えてシームレスに発展する中、我々の生きるこの世界は互いに結びつきを深めており、真のグローバルレベルでの書体ソリューションを利用できる環境は、企業ブランドとクリエイターにとって欠かせません。今後はフォントワークスの書体を世界中のより多くのクリエイティブ・プロフェッショナルにお届けすると同時に、日本国内のクリエイター向けには、Monotypeの多言語・欧文フォントのライブラリをさらに展開していきます。書体テクノロジーの最新の進化を反映する形で、フォントワークスの書体デザインは今後、Monotypeの管理のもと継続的にアップデートされます。このことは、世界のクリエイティブ文化の中心に書体を位置づけるという、当社のミッションの重要な要素となっています。」