Adobe Typekit
アドビ システムズ株式会社は「Adobe Creative Cloud」に付随するフォントライブラリサービス「Adobe Typekit」に、株式会社視覚デザイン研究所、有限会社字游工房、大日本印刷株式会社、フォントワークス株式会社の4社のフォントを追加したことを2017年9月27日に発表した。
4社から今回、提供されるフォント数を合わせると追加されるフォント数は74フォントとなる。これらのフォントは9月27日からCreative Cloudユーザーならば追加費用なしで利用できるのでCCユーザーならば使わない手はない。
また27日に都内で開かれた記者会見にてアドビで研究開発本部日本語タイポグラフィシニアマネージャーの山本太郎氏は、「TypekitはWebフォントとデスクトップフォントに存在する2つの問題を解消させるために開発された。Webフォントでは、PCやスマートフォンでWebサイトを閲覧したときに、クリエイターが意図していないフォントに置き換わってしまうことを解消できる。一方デスクトップフォントは、ほかのデザイナーがデザインしたもののフォントが自分のPCに入っていない場合、フォントを買いに行ったりインストールしたりという煩わしさから解放できる。2015年よりTypekitの日本語対応をしてきたが、今回のさらなる拡充で合計171書体が利用可能となった」と述べた。
発表会ではアドビマーケティング本部デジタルメディア マネージャーを務める岩本崇氏によるデモンストレーションも行なわれ、Webブラウザ上からすでに新しいフォントが閲覧でき、すぐに利用可能になることや、フォント不足時にソフトウェア上から自動でフォントを同期させ利用可能になる様子が示された。このPC上にファイルで指定されているフォントがない場合に自動的にTypekitと同期できるようになったのはユーザーにとってはかなりありがたい。
Adobe Typekitの特徴
アドビオリジナルのフォントに加えて、世界の主要フォントメーカー製の特定フォントをライブラリとして提供するもので、Creative Cloudユーザーはこれらのフォントを印刷物やWebに使用できる。現在、欧文が10,000フォント以上、和文が97フォント提供されており、今回の4社の合計74フォントの追加で和文が171フォントに拡大した。
ここまでTypekitで和文フォントを増やしてもらえたなら、現在、フォント会社が行っている年間ライセンス製品を契約しなくてもいいような気もする充実ぶりを発揮。ゲームや映像制作で使用する場合は別途でライセンス契約が必要になるケースが多いが、印刷物をデザインする際にAdobe Creative Cloudを利用している場合はTypekitで事足りる。
特に個人でAdobe Creative Cloudを使用している場合、年額払う金額を考えるとTypekitで済まそうという考えに至る。
また今回の発表会でアドビ システムズ研究開発本部 日本語タイポグラフィ 山本太郎 シニアマネージャーは、今後も日本語書体の追加を続けるのかという質問に対して「Typekitのライブラリを充実させることで、クリエイターがさまざまなフォントを使いやすくなる環境をつくるというゴールがあるため、できる限り今後も拡張を続けていきたい」と回答しており、今後、更に日本語書体の拡充が期待できそうだ。
来年以降になると思うがアドビシステムズが制作する源ノゴシック、源ノ明朝に続く新書体として源ノ丸ゴシックのリリースにも期待したい。
Adobe Creative Cloud コンプリート 2017年版 |12か月版
- 出版社/メーカー: アドビシステムズ
- 発売日: 2013/10/18
- メディア: License
- この商品を含むブログ (1件) を見る
▼今回のアドビのリリース情報に記載されていた4社の情報とフォントに関して
株式会社視覚デザイン研究所
視覚デザイン研究所は、文字の持つ伝統的な美しさを損なうことなく、斬新でありながらも「造形の美的バランス」と「文字の可読性」の両立をコンセプトとした、新しい表情の日本語フォントを創出している。
今回、視覚デザイン研究所からは合計36フォントが提供となった。
「VDL ロゴG Regular」
文字の造形の美的バランスを保ちながら、可能な限り装飾性を排除しました。エレメントの先端部を水平・垂直に揃え、かつすべての文字の量感が一定となるよう、漢字に対してひらがな・カタカナ・アルファベット・数字は大きめに設計。縦横両方の文字組みで安定したバランスが保て、完成されたロゴタイプのような美しい文字組みが得られる。
▼視覚デザイン研究所提供書体(全36書体)
・V7明朝-Light
・V7明朝-Medium
・V7明朝-Bold
・V7明朝-ExtraBold
・V7明朝-Ultra
・V7ゴシック-Light
・V7ゴシック-Medium
・V7ゴシック-Bold
・V7ゴシック-ExtraBold
・V7ゴシック-Ultra
・V7丸ゴシック-Light
・V7丸ゴシック-Medium
・V7丸ゴシック-Bold
・V7丸ゴシック-ExtraBold
・V7丸ゴシック-Ultra
・ロゴG-Regular
・ロゴ丸-Regular
・メガG-Regular
・メガ丸-Regular
・ペンジェントル-Bold
・ペンレディ-Bold
・ロゴJr-Regular
・ロゴ丸Jr-Regular
・ギガJr-Medium
・ギガ丸Jr-Medium
・ラインG-Regular
・ラインGアール-Regular
・ギガG-Medium
・テラG-Medium
・アドミーン-Regular
・ペタG-Medium
・ロゴJrブラック-Black
・京千社-Regular
・ヨタG-Medium
・ギガ丸-Medium
・ロゴナ-Regular
有限会社字游工房
1989年設立の字游工房は、MacやWindowsに一部搭載された自社ブランドの游明朝体や游ゴシック体の制作をはじめ、SCREENのヒラギノシリーズ、大日本印刷の秀英体、凸版印刷の凸版文久体など、会社の枠を超えた高品位なベーシック書体の制作を通して、日本の活字文化の継承と発展に寄与している。
今回、字游工房からは游明朝ファミリーの4フォントが提供となった。
「游明朝体R」
「時代小説が組めるようなふつうの明朝体」をキーワードに、単行本や文庫本などで小説を組むことを目的に開発。文字の大きさの揃った現代的な明るい漢字と伝統的な字形を生かしたスタンダードな仮名の組み合わせが特徴。
「游明朝体五号かなR」「游明朝体36ポかなR」
游明朝体Rと組合せて使用することを前提とした書体。游明朝体五号かなRは、クラシカルでやわらかな線で書かれた端正な字形が特長で、游明朝体36ポかなRは、毛筆の表現力を活かした表情ゆたかな線と独特のスタイルをもった字形が特徴。
▼字游工房提供書体(全4書体)
・游明朝体R Pr6
・游明朝体R Pr6N
・游明朝体五号かなR
・游明朝体36ポかなR
大日本印刷株式会社
秀英体は、大日本印刷(DNP)がその前身である秀英舎の時代から100年以上にわたり開発を続けているオリジナル書体。優美でしなやかな線画を持ち、美しく読みやすい書体として多くの書籍や辞典に使われるなど、編集者やデザイナーだけでなく、読者からも親しまれてきた。現在は明朝の他にも角ゴシックや丸ゴシックなどを含めた17書体があり、書籍や雑誌の他にも、広告や商品パッケージ、Webサイトなど幅広い場面でご利用いただけるラインアップとなっている。
今回、大日本印刷からは秀英体20フォントが提供となった。
「DNP 秀英明朝 Pr6 L」
秀英明朝は豊富なファミリーを持つ秀英体の中でも、主軸となる書体です。長年にわたり、本文用の明朝体として、書籍や雑誌のテキストを伝え続けてきた。「い」「に」などのひと筆書きが印象的なこの書体は、しっかりとした信頼感を読者に与えます。横画の太さは他の明朝体に比べて太めに設定しているため、細い線のちらつきが少なく、目に優しい黒みを保たれる。
▼大日本印刷提供書体(全20書体)
・秀英アンチック Std
・秀英角ゴシック銀 Std L
・秀英角ゴシック銀 Std M
・秀英角ゴシック銀 Std B
・秀英明朝 Pr6N L
・秀英明朝 Pr6N M
・秀英明朝 Pr6N B
・秀英角ゴシック金 Std L
・秀英角ゴシック金 Std M
・秀英角ゴシック金 Std B
・秀英明朝 Pr6 L
・秀英明朝 Pr6 M
・秀英明朝 Pr6 B
・秀英丸ゴシック Std L
・秀英丸ゴシック Std B
・秀英四号太かな Std Hv
・秀英横太明朝 Std M
・秀英横太明朝 Std B
・秀英四号かな Std M
・秀英初号明朝 Std H
フォントワークス株式会社
フォントワークスは、デジタル環境とともに発展してきたフォントメーカー。デジタル分野におけるフォントの開発・提供、「明朝体の革命」筑紫書体シリーズの開発や、国内で初めて定額制フォントサービスを開始するなど、革新的なアイデアとともに「高品質なフォントを使いやすく提供」してきた。今後はソフトバンク・テクノロジーグループの一員として、情報革命を通じてフォントの新しい価値を創出していく。
今回、フォントワークスからは筑紫丸ゴシック体のファミリー4書体を含む合計14フォントとなった。筑紫書体シリーズは2017年グッドデザイン賞を受賞した。筑紫明朝体も入れて欲しかったところだが、さすがに出し惜しみしたのだろうか。
「筑紫A丸ゴシック/筑紫B丸ゴシック」
筑紫書体の丸ゴシック体は、現在のデジタルフォントの丸ゴシック体に一般的な、ふところを広くとったデザインではなく、文字本来の形をいかし、ふところをぐっと絞ったデザインにすることで均質美ではなく一定の品位と味わい豊かな書風となっている。
「2010東京TDC賞」受賞。また筑紫書体シリーズとして2017年グッドデザイン賞を受賞。
▼フォントワークス提供書体(全14書体)
・筑紫A丸ゴシック Std-R
・筑紫A丸ゴシック Std-B
・筑紫B丸ゴシック Std-R
・筑紫B丸ゴシック Std-B
・マティス ProN-M
・ロダン ProN-DB
・セザンヌ ProN-M
・スーラ ProN-DB
・UD丸ゴ_ラージ Pr6N-M
・UD丸ゴ_ラージ Pr6N-DB
・UD角ゴ_ラージ Pr6N-M
・UD角ゴ_ラージ Pr6N-DB
・クレー Pro-M
・クレー Pro-DB
Adobe Typekit関連記事:アドビシステムオリジナルフォント「貂明朝」
Adobe pekit関連記事:モリサワが「Adobe Creative Cloud」のTypekitにタイプバンク10書体を提供
Adobe Typekit関連記事:Adobe Capture CC
Adobe Typekit関連記事:タイプフェイスデザイナー・西塚涼子氏のお勧め本
Adobe製品情報
▼Adobe Creative Cloud コンプリート 2017年版 | 12か月版 | オンラインコード版
Adobe Creative Cloud コンプリート 2017年版 | 12か月版 | オンラインコード版
- 出版社/メーカー: アドビシステムズ
- 発売日: 2013/10/01
- メディア: Software Download
- この商品を含むブログ (3件) を見る
PhotoshopやIllustratorを始めとするデスクトップアプリ。様々なモバイルアプリとクラウドならではのサービスを統合したトータル制作環境になっている。随時リリースされるアップデートを含め、これらすべてを追加料金なしの定額制で利用できる。
▼Adobe Creative Cloud コンプリート 2017年版|学生・教職員個人版|12か月版
Adobe Creative Cloud コンプリート 2017年版|学生・教職員個人版|12か月版|オンラインコード版
- 出版社/メーカー: アドビシステムズ
- 発売日: 2013/10/01
- メディア: Software Download
- この商品を含むブログを見る
Adobe Creative Cloudの学生・教職員個人版。アカデミック価格なので当然通常価格で購入するより安い。
▼Acrobat Standard 2017 アドビ ※パッケージ版【返品種別B】【送料無料】
Acrobat Standard 2017 アドビ ※パッケージ版【返品種別B】【送料無料】
|
▼Acrobat Pro 2017 日本語 Mac 【学生・教職員版】 アドビ ※パッケージ版【返品種別B】【送料無料】
Acrobat Pro 2017 日本語 Mac 【学生・教職員版】 アドビ ※パッケージ版【返品種別B】【送料無料】
|