第158回芥川賞・直木賞決定
第158回芥川賞と直木賞の選考会が1月16日に東京・中央区の料亭で開かれで開かれ、芥川賞は若竹千佐子氏「おらおらでひとりいぐも」と石井遊佳氏「百年泥」の両名が受賞し、直木賞は門井慶喜氏の作品「銀河鉄道の父」が受賞した。
一方、小説家としてのデビュー作が直木賞の候補となった人気バンド「SEKAINOOWARI」の藤崎彩織氏の「ふたご」は受賞に至らなかった。
金を落とすのは金も時間もある老人ということで文学界・出版界に訪れる超高齢化の波
女性の年齢を書くのも野暮と承知の上、石井遊佳氏は54歳、至ってはとか書くのは気が引けるし過去には黒田夏子氏が75歳9か月での受賞という最高齢受賞を記録しているのは承知で書くが、若竹千佐子氏に至っては63歳という年齢での芥川賞受賞となった。
こうした状況をみるに、もちろん作品自体が素晴らしいという事は一旦隅においておいて、文学・出版界にはやはり超高齢化の波が押し寄せていると穿った見方で邪推してしまった。
2017年のベストセラー第1位が「九十歳。何がめでたい」であった事も後押ししたんではなかろうか。著者である直木賞作家・佐藤愛子氏も1923年11月5日の94歳。やっぱりこんな事を書くと怒られるかもしれないが老人によるエッセイだ。
老人によるエッセイが老人のために書かれたとまではいわないが、若者の活字離れが叫ばれて若者が本ではなくソシャゲ課金に金を落とす中で、スマートフォンの扱いに慣れない老人達(※偏見)が書籍にせっせと金を落としていく。その老人達には金も時間も潤沢にあり、出版界にとって老人はこの上ない上客なのだ。そう考えてみると今回の芥川受賞もマーケット的にも至極まっとうな受賞であるといえる。もちろん作品自体が素晴らしいのは念頭に置いて…、「おらおらでひとりいぐも」という作品の内容が歳をとるのも悪くないと思えるような小説になっているので、遂、出来心で書いてしまった次第、どうもすいません。
結局のところ、何が言いたいのかというと、別にこの状況をディスっているわけでも憂いているわけでもなく、日本に必然的に訪れている高齢化社会の中で、お年寄りを大切にしていきましょうと言いたいわけなんです。えー、そうなんです。
そして出版界における上客のお年寄り様方が抱える老眼といった問題に対しても、書籍の文字組みにも大きく配慮して、目が疲れず読みやすいUDフォントなどで文字を組んでいって欲しいと切に願っている次第です、高齢化社会に優しいをモットーとする私からは以上です。
上記の書体はフォントワークスのUD明朝。
本文用書体として高い評価を得ている「筑紫明朝」をベースに、横画を太くし、英数字を大きく調整しました。 読み心地の良さを追求する長文に最適な書体。
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全国書店でベストセラーランキング1位続出の2016年最大の話題作!
各界の著名人も笑って泣いて大絶賛!
清々しい読後感に、心がスカッと晴れて元気が出ます!
◎キャスター・安藤優子さん
「とにかく痛快でした。言いたいこと言って、縦横無尽に切りまくる。でも不思議なくらい温かい」
◎落語家・桂歌丸さん
「この本は年寄りの教科書。佐藤さんの“角張った生き様"は老い先短い自分がどこに向かうか考える上で、とても参考になりました」
◎作家・瀬戸内寂聴さん
「彼女の表現にはユーモアがあって、笑わせますよね。全28編、それぞれ必ず1回か2回は、思わずゲラゲラ笑ってしまいました」
◎作家・辻村深月さん
「読み終えて本を閉じ、思わずにはいられなかった。九十歳、それでもやっぱりおめでたい、と」
――『徹子の部屋』では、黒柳徹子さんと冨士眞奈美さんが大絶賛。
その他、新聞や雑誌、テレビ番組でも紹介されて話題となっています。
本書『九十歳。何がめでたい』というタイトルには、佐藤愛子さん曰く「ヤケクソが籠っています」。
2016年5月まで1年に渡って『女性セブン』に連載された大人気エッセイに加筆修正を加えたものです。
大正12年生まれ。現在93歳の佐藤さんは2014年、長い作家生活の集大成として『晩鐘』を書き上げました。その時のインタビューでこう語っています。
「書くべきことは書きつくして、もう空っぽになりました。作家としての私は、これで幕が下りたんです」
(「女性セブン」2015年2月5日号より)
その一度は下ろした幕を再び上げて始まった連載『九十歳。何がめでたい』は、「暴れ猪」佐藤節が全開。
自分の身体に次々に起こる「故障」を嘆き、時代の「進歩」を怒り、悩める年若い人たちを叱りながらも、あたたかく鼓舞しています。
自ら災難に突進する性癖ゆえの艱難辛苦を乗り越えて生きて来た佐藤さんだからからこそ書ける緩急織り交ぜた文章は、
人生をたくましく生きるための「金言」も詰まっていて、大笑いした後に深い余韻が残ります。ぜひ日本最高峰の名エッセイをご堪能ください。
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▼関連記事:2017年間ベストセラー第1位がめでたい「九十歳。何がめでたい」、そして第4位に「日本一楽しい漢字ドリル うんこかん字ドリル」というのは超高齢化と少子化現象が如実に現れたランキングなのか…
若竹千佐子氏・高齢化社会を生きる玄冬小説「おらおらでひとりいぐも」
疎遠になった息子と娘、夫に先立たれ、74歳でひとり暮らしの桃子さんを主人公とした玄冬小説。
玄冬小説って何だろうと思ったら青春小説の対局に位置する小説を意味し、歳をとるのも悪くない、と思えるような小説のことらしい。
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74歳、ひとり暮らしの桃子さん。
おらの今は、こわいものなし。
結婚を3日後に控えた24歳の秋、東京オリンピックのファンファーレに押し出されるように、故郷を飛び出した桃子さん。
身ひとつで上野駅に降り立ってから50年――住み込みのアルバイト、周造との出会いと結婚、二児の誕生と成長、そして夫の死。
「この先一人でどやって暮らす。こまったぁどうすんべぇ」
40年来住み慣れた都市近郊の新興住宅で、ひとり茶をすすり、ねずみの音に耳をすませるうちに、桃子さんの内から外から、声がジャズのセッションのように湧きあがる。
捨てた故郷、疎遠になった息子と娘、そして亡き夫への愛。震えるような悲しみの果てに、桃子さんが辿り着いたものとは――
青春小説の対極、玄冬小説の誕生!
*玄冬小説とは……歳をとるのも悪くない、と思えるような小説のこと。
新たな老いの境地を描いた感動作。第54回文藝賞受賞作。
主婦から小説家へーー63歳、史上最年長受賞。
◎文藝賞全選考委員絶賛!
「東京オリンピックの年に上京し、二人の子どもを産み育て、主婦として家族のために生き、夫を送って「おひとりさまの老後」を迎えた桃子さんは、戦後の日本女性を凝縮した存在だ。桃子さんは私のことだ、私の母のことだ、明日の私の姿だ、と感じる人が大勢いるはず」
――斎藤美奈子氏
「宮澤賢治「永訣の朝」にある「Ora Orade Shitori egumo」のフレーズ。それを悲しみのうちに死ぬの意ではなく、独り生きていく「自由」と「意欲」に結びつけた。「老い」をエネルギーとして生きるための、新しい文学が生み出された」
――藤沢周氏
「人の気持ちは一色ではないということを、若竹さんはよくぞ?んだ。年を経たからこその、若々しい小説」
――保坂和志氏
「取り返しのつかない命のなかで、個人の自由や自立と、その反対側にある重くて辛いものも含めた両方を受け取って、人生を肯定的にとらえるまでにいたったのが見事」
――町田康氏
◎早くも話題沸騰! 反響続々!
「ほんとはね、ほんとは「独りがいい」。出会いも歓びだが、死別も解放だ。地声で語られた女のホンネが炸裂! 」
――上野千鶴子氏
「死すことのない共同体の言葉。それが支える「老い」の姿に初めて触れた。「頭の中に大勢の人たちがいる」ことは、きっと孤独ではない」
――小林紀晴氏
朝日新聞、読売新聞、産経新聞、東京新聞、共同通信ほか、絶賛の声多数!
若竹千佐子Profile●1954年、岩手県遠野市生まれ。遠野で育ち、子どもの頃から小説家になりたいと思っていた。また、その頃父が広沢虎造の浪曲を好んで聴いていた。
岩手大学教育学部卒業後は、教員をめざして県内で臨時採用教員として働きながら教員採用試験を受け続けるが、毎年ことごとく失敗。目の前が真っ暗になるほど落ち込むなかで夫と出会い、結婚。30歳で上京し、息子と娘の二児に恵まれる。都心近郊の住宅地に住みながら子育てをする。この時は、妻として夫を支えることが人生の第一義だと考えていた。その傍ら深沢七郎、石牟礼道子、河合隼雄、上野千鶴子らの本が好きで読んでいた。
55歳の時、夫が脳梗塞で死去。あまりにも突然の死に悲しみに暮れ、自宅に籠る日々を送っていると、息子から「どこにいても寂しいんだから、外に出ろ」と小説講座を進められ、講座に通いはじめる。それまでも小説を書きたいと思っていたが書くべきことが見つからず、完成したことはなかった。8年の時を経て本作を執筆し、第54回文藝賞を受賞。
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石井遊佳氏・芥川賞受賞作品「百年泥」
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門井慶喜氏・直木賞受賞作品「銀河鉄道の父」
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明治29年(1896年)、岩手県花巻に生まれた宮沢賢治は、昭和8年(1933年)に亡くなるまで、主に東京と花巻を行き来しながら多数の詩や童話を創作した。
賢治の生家は祖父の代から富裕な質屋であり、長男である彼は本来なら家を継ぐ立場だが、賢治は学問の道を進み、後には教師や技師として地元に貢献しながら、創作に情熱を注ぎ続けた。
地元の名士であり、熱心な浄土真宗信者でもあった賢治の父・政次郎は、このユニークな息子をいかに育て上げたのか。
父の信念とは異なる信仰への目覚めや最愛の妹トシとの死別など、決して長くはないが紆余曲折に満ちた宮沢賢治の生涯を、父・政次郎の視点から描く、気鋭作家の意欲作。
門井慶喜Profile●1971年群馬県生まれ。同志社大学文学部卒業。2003年、オール讀物推理小説新人賞を「キッドナッパーズ」で受賞しデビュー。'15年に『東京帝大叡古教授』が第153回直木賞候補、'16年に『家康、江戸を建てる』が第155回直木賞候補となる。'16年に『マジカル・ヒストリー・ツアー ミステリと美術で読む近代』で日本推理作家協会賞(評論その他の部門)、同年咲くやこの花賞(文芸その他部門)を受賞。他の著書に『パラドックス実践 雄弁学園の教師たち』『屋根をかける人』『ゆけ、おりょう』、共著『決戦! 新選組』などがある。
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※電子書籍版しか見つからず
SEKAINOOWARIの藤崎彩織氏の直木賞候補作品「ふたご」
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SEKAI NO OWARI Saoriによる初小説、ついに刊行。第158回直木賞候補作。
大切な人を大切にすることが、こんなに苦しいなんて--。
彼は私の人生の破壊者であり想造者だった。
異彩の少年に導かれた少女。その苦悩の先に見つけた確かな光。
激しく胸が震えました。
これは、絶対に書かれなければならなかったんだなとよくわかる小説でした。
自分のことや、好きな人のこと、好きだった人のことを思い出して、何度も泣きました。
とにかく、みんな、無事に生きのびてくれ、と叫びたい気分です。
宮下奈都(作家)
自分以外の誰かを信じ続けることの絶望と幸福が、泣きたいほどここにありました。
島本理生(作家)
優れた表現者が人生に一度だけ書ける小説。セカオワのカラフルでマジカルな世界観の裏側にある真実の言葉。この小説には一行も嘘がないと思った。感動しました。
中森明夫(コラムニスト)
内容(「BOOK」データベースより)
彼は、わたしの人生の破壊者であり、創造者だった。異彩の少年に導かれた孤独な少女。その苦悩の先に見つけた確かな光。SEKAI NO OWARI Saori、初小説!
藤崎彩織(SEKAI NO OWARI)Profile●SEKAI NO OWARIでピアノ演奏とライブ演出を担当。研ぎ澄まされた感性を最大限に生かした演奏はデビュー以来絶大な支持を得ている。雑誌「文學界」でエッセイ「読書間奏文」を連載しており、その文筆活動にも注目が集まっている。
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