mojiru【もじをもじる】

「mojiru」はこのブログ名。「もじる」は著名な言い回しに似せて表現すること。ブログでは、本・映画・グルメなどのヒット商品や気になったトレンドを文字をもじったりもじらなかったしながら、フォントを使ったり使わなかったりしながら取り上げていく。更新頻度は1日1回が基本です。[もじる使用例]1.吾輩は下戸である。お酒は飲めない。2.太閤がまずしかったから。3.棋士の一二三に惨敗。

エコロジーの物語「タネはどこからきたか?」新装版

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タネはどこからきたか?

インプレスグループで山岳・自然分野のメディア事業を手がける山と溪谷社は、鷲谷いづみ氏が文、埴沙萠氏が写真を担当した、一粒のタネから始まるエコロジーの物語「タネはどこからきたか?」新装版を出版した。

「タネはどこからきたか?」は、生態学者で東京大学名誉教授、元中央大学教授の鷲谷いづみ氏と、植物生態写真家の故・埴沙萠氏の著書として2002年に出版されて以来、子供から大人まで広く愛読されてきた。
発売から18年が経ってなお、この本の魅力は古くならないどころか、今でも新鮮な驚きを与えてくれる。それは、小さなタネという存在とほかの生き物との深い関わりや、自然全体とのつながりについて、子供でもわかる平易な文章と、美しい「生態写真」で伝えているためである。

たとえば、ある一本の木の幹にたくさんのスミレが咲いている写真が載っている。この写真を一目見た生態学者は、なぜそこにスミレが咲いているのか、数年にも及ぶストーリーを解き明かしていく。そのタネ証しはこうだ。

「日だまりの木の幹にコスミレの小さいけれどもはなやかな花束。このフラワーアレンジメントは、アリの作品に違いない。おそらくこの幹にはアリの巣があり、そこがアリのゴミためだったのだ」

スミレのタネには脂質を含むエライオゾームがついていて、アリの餌になる。食べ終わり、不要となったタネが捨てられた場所は、スミレにとっては光も栄養も豊富な適地で、見事な花を咲かせることができた。これは偶然ではなく、スミレが進化の過程で身につけた「生存戦略」となる。

鳥や動物が植物の実や果実を食べて、厳しい冬の季節を乗り切ることはよく知られているが、与えている報酬に対して、植物が鳥や動物から何を「見返り」に得ているのかについては、ほとんど知られていない。それは、植物が定着し、生きていくのに最適な場所までタネを運ばせること。植物は単に献身的なだけではなく、ときに戦略的で、ずる賢くさえあり、「植物が動物を利用している」とも言える。

またタネは土の中でタイムカプセルのように眠っていることもある。このタネを用いれば、たとえ地上の植物相が伐採や開発によって失われても、健全だった時代の植生をよみがえらせることができる。つまり、タネは空間だけでなく、時間も超越する。

このような「タネはどこからきたか?」で紹介されている数々の「エコロジカルな視座」は、すべて科学に基づいており、イマジネーションの世界、おとぎ話の物語とは全く異なる。野外の観察と室内実験から緻密にデータを積み上げて検証された「繁殖戦略」であり、長い進化のプロセスで獲得した「形質」でもある。
この「タネはどこからきたか?」が伝えているメッセージは、一見静かでおとなしい植物の生きるたくましさ、そして進化の不思議さとなる。と同時に、生きものどうしが自らの生存をかけて競争し、共存してきた結果、誕生した「生態系」の美しさでもある。出版当時、夏休みの本(緑陰図書)に選ばれたこともある「タネはどこからきたか?」は、子供達はもちろん、生きものやエコロジーに関心がある全ての人にお薦めしたい一冊である。

 

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鷲谷いづみProfile●東京都出身。東京大学理学部卒業、東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。理学博士。筑波大学生物科学系講師、助教授、東京大学大学院農学生命科学研究科教授。2015年定年退任、名誉教授。2015年から 中央大学人間総合理工学科教授。2020年3月退任。著書に『生態系を蘇らせる』 (NHK出版)、『天と地と人の間で 生態学から広がる世界』(岩波書店)、『コウノトリの翼 エコロジストのまなざし』(山と溪谷社)ほか。みどりの学術賞、日本生態学会功労賞などを授賞。

 

埴沙萠Profile●10代の頃よりサボテンの研究を始め、過酷な環境の沙漠に生きる植物から、生きることの仕組みや知恵を学び、身近な植物の生態を撮影している。足元にごく普通に生息している植物たちを生き生きとした一瞬をとらえて、数々の本を出版。『植物記』(福音館)、『たねのゆくえ』(あかね書房)、『きのこふわり胞子の舞』(ポプラ社)ほか。N H Kスペシャル「足元の小宇宙 ?生命を見つめる植物写真家」が話題に。2016年逝去。

 

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  • 作者:鷲谷 いづみ
  • 発売日: 2020/06/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

 

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