23の先端事例がつなぐ計算科学のフロンティア
インプレスグループで理工学分野の専門書出版事業を手掛け近代科学社は、2020年1月25日に、中村振一郎氏、牧野内昭武氏、安達泰治氏、杉本学氏監修による産業界の最先端で難課題を切り拓く「23の先端事例がつなぐ計算科学のフロンティア」を発売した。
●監修者略歴
中村振一郎Profile
1984 年Strasbourg 大学・フランス国家博士号取得.
1984~1986年 分子研・諸熊奎治教授の博士研究員.
1986~2013年 三菱化学にて民間企業における計算科学の第一世代として勤務.
2009~2013年 東工大・生命理工連携客員教授.2011 年から理化学研究所特別招聘研究員.
牧野内昭武Profile
1969年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了.
1969年理化学研究所研究員を経て,
1994年主任研究員.
2001年VCAD システム研究プログラムディレクター.その間,グルノーブル大学客員教授,パリ13 大学・ガリレー大学客員教授,理研ベンチャー(株)先端力学シミュレーション研究所取締役を兼務の後,技術顧問,理化学研究所顧問.
2019年7月逝去.
安達泰治Profile
1992年大阪大学大学院基礎工学研究科物理系専攻修士課程修了.その後,神戸大学工学部助手,同助教授,京都大学大学院工学研究科准教授を経て,
2010年から京都大学再生医科学研究所(2016 年からウイルス・再生医科学研究所)教授.この間,
2006~2011年理化学研究所チームリーダを兼務.博士(工学,大阪大学,1997 年).
杉本学Profile
1993年京都大学大学院工学研究科合成化学専攻博士後期課程修了.
1993~1996年住友金属工業(株)にて計算物理研究に従事.
1996年熊本大学工学部/大学院自然科学研究科講師,
2003年同助教授/准教授.現在,熊本大学大学院先端科学研究部准教授.熊本大では計算化学(特に電子状態計算),ケモインフォマティクス,および両者を融合した電子状態インフォマティクスによる研究を実施している.博士(工学,京都大学,1996年).
●執筆者一覧(担当章)
・浜孝之(第1章)
京都大学大学院エネルギー科学研究科
エネルギー応用科学専攻准教授
・杉山和靖(第2章)
大阪大学大学院基礎工学研究科
機能創成専攻教授
・長嶋利夫(第3章)
上智大学理工学部機能創造理工学科
教授
・平川和明(第4章)
元(株)先端力学シミュレーション研究所
解析技術部
・安達泰治(第5章)
京都大学ウイルス・再生医科学研究所
教授
・井上康博(第6章)
京都大学大学院工学研究科
マイクロエンジニアリング専攻教授
・大野かおる(第7章)
横浜国立大学大学院工学研究院
知的構造の創生部門教授
・大谷実(第8章)
産業技術総合研究所
機能材料コンピュテーショナルデザイン
研究センター研究チーム長
・今村穣(第9章)
首都大学東京大学院理工学研究科
分子物質化学専攻客員教授
・野田祐輔(第10章)
名古屋大学大学院工学研究科
物質科学専攻特任助教
元物質・材料研究機構
統合型材料開発・情報基盤部門
情報統合型物質・材料研究拠点
NIMS ポスドク研究員
・宮本良之(第11章)
産業技術総合研究所
機能材料コンピュテーショナルデザイン
研究センター上級主任研究員
・前田理(第12章)
北海道大学
化学反応創成研究拠点(WPI ICReDD)
拠点長
北海道大学大学院理学研究院
化学部門教授
物質・材料研究機構
統合型材料開発・情報基盤部門
招聘主任研究員
・石北央(第13章)
東京大学先端科学技術研究センター
教授
・畠山允(第14章)
山口東京理科大学薬学部
講師
・小野謙二(第15章)
九州大学情報基盤研究開発センター,
汎オミクス計測・計算科学センター
教授
・茂本勇(第16章)
東レ(株)先端材料研究所
主席研究員
・檜貝信一(第17章)
(株)アーク・イノベーション
元(株)村田製作所技術・事業開発本部
プリンシパルリサーチャー
・神田英一郎(第18章)
川崎医科大学医学部
学長付特任教授
・諫田克哉(第19章)
理化学研究所
中村特別研究室研究員
・中村振一郎(第19章)
理化学研究所
中村特別研究室特別招聘研究員
・大竹淑恵(第20章)
理化学研究所
光量子工学研究センター中性子ビーム
技術開発チームチームリーダー
・南出夏奈(第21章)
(株)トプコンR&D 本部
・秋葉正博(第21章)
(株)トプコンR&D 本部
・吉田晃敏(第21章)
旭川医科大学学長
・堀裕和(第22章・第23章)
山梨大学大学院総合研究部
教授学長補佐(企画・研究・広報)
・成瀬誠(第23章)
東京大学大学院情報理工学系研究科
システム情報学専攻教授
「23の先端事例がつなぐ計算科学のフロンティア」内容紹介
産業界において数学や数理の重要性が再認識されるなか、各分野において計算科学のフロントランナーとされる科学者たちが理化学研究所のシンポジウム「計算で物事を理解する予測する~産業界の難課題が求めている解決パラダイムの提案、三つの計算科学、連続体、分子、そして統計~」に集結した。
「23の先端事例がつなぐ計算科学のフロンティア」は、このシンポジウムの講演内容を書籍化したもので、講演者26名に、主要読者を理工学系の学部3年生として講演内容を書き下ろした(全23章)。
各章とも、主に産業界の各分野において、計算科学が重要な役割を果たしている研究事例とその成果を紹介している。単なる読み物・紹介記事ではなく、当該専門領域で実際に使われている計算や数式を織り交ぜながら展開していく。
学部生には将来的に当該分野を研究してみたいと感じてもらえるように、また、他分野の研究者が読んでも様々な“気付き”が得られるように、各執筆者により内容が練られた。
「23の先端事例がつなぐ計算科学のフロンティア」目次
刊行に寄せて-計算科学への期待(小林喜光)
はじめに-産業界の難課題が求めている解決パラダイム(中村振一郎)
第1部 連続体計算科学のフロンティア
第1章 顕微鏡の世界から自動車部品の加工性を予測する(浜孝之)
第2章 ボクセルベースで流体構造の連成シミュレーションを行う(杉山和靖)
第3章 XFEMで構造物の損傷をシミュレーションする(長嶋利夫)
第4章 ものづくりでCAEを活用する-CAE の現状と5D 設計への展望(平川和明)
第5章 計算機で骨の形態をリモデリングする(安達泰治)
第6章 多細胞力学シミュレーションで上皮形態形成を捉える(井上康博)
第2部 量子計算科学のフロンティア
第7章 第一原理フェーズフィールド法で材料組織を予測する(大野かおる)
第8章 電気化学反応をシミュレーションから理解する(大谷実)
第9章 計算科学を駆使して次世代の太陽電池材料を発見する(今村穣)
第10章 情報科学と電子状態計算の組合せで蓄電池用固体電解質の物性を評価する(野田祐輔)
第11章 非熱的レーザー加工の素過程を数値シミュレーションで理解する(宮本良之)
第12章 反応経路自動探索法で化学反応経路の全貌を予測する(前田理)
第13章 実験結果ありきではないタンパク質分子の理論研究をめざして(石北央)
第14章 計算科学で光合成の酸素発生中心と光電荷分離を理解する(畠山允)
第3部 データサイエンスのフロンティア
第15章 データサイエンス時代の科学技術データをどう可視化するか?(小野謙二)
第16章 高分子計算屋が考えるインフォマティクスとの付き合い方(茂本勇)
第17章 材料産業分野における計算およびデータ科学技術への期待(檜貝信一)
第18章 腎臓病患者のビッグデータを構築し高リスク患者の治療にAI・ICT を活用する(神田英一郎)
第19章 健診データとレセプトであなたの未病度を計る(諫田克哉・中村振一郎)
第4部 計測技術のフロンティア
第20章 非破壊観察システムをインフラ・ものづくり現場で利用する-理研小型中性子源RANS(大竹淑恵)
第21章 光干渉断層計(OCT) を用いた眼底血流計測から分かること(南出夏奈・秋葉正博・吉田晃敏)
第5部 圏論とその周辺
第22章 非自明な現象をいかにして捉え制御するか?-計算科学基盤としての圏論の基礎と応用(堀裕和)
第23章 圏論の応用を実践的に探求する-機能システムの新たな基盤に向けて(成瀬誠・堀裕和)
おわりに-理研のものづくり研究と計算科学(牧野内昭武)
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